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ショーベタの繁殖方法

フォーチュン式 ショーベタ繁殖方法


 ショーベタを飼育していると、一度は繁殖にもチャレンジしたいと思うでしょう。

 自分で繁殖させることにより、もとの親魚よりもさらに美しい個体を出現させることが可能ですし、
場合によっては新しい品種を作出するという夢も広がります。

 そうでなくてもショーベタの繁殖は、雌雄の求愛から産卵までの行動が非常に情熱的で、
また産卵後にはオスが卵や稚魚を熱心に世話をするという、とても愛情深いシーンを見ることができます。 

 そこで、ここでは”フォーチュン式ショーベタの繁殖方法”をお話したいと思います。

 この方法は、私が長年の試行錯誤の末に考えた
最も簡単で、高い確率で産卵し、確実に育成できる方法です。

繁殖の準備


まずは、繁殖を楽しむ際に必要なものを考えてみましょう。

 まず水槽ですが、普段飼育している容器よりも大きなものを用意してください。
 大きさとしては、最低でも30cm水槽(約10リットル)必要です。
 できれば、40cm~45cm水槽(約25~35リットル)あったほうがいいです。

 もちろん保温のためヒーターは必要なのですが、ふだん25度ぐらいで飼育していても、
繁殖のときには27~28度ぐらいに水温を高くしたほうが良いので、
サーモスタットで温度を調節できるタイプのほうが便利です。

 蛍光灯は必要です。
ショーベタの繁殖に直接必要なものではありませんが、あまり暗いと観察しにくいのと、
稚魚の初期飼料となるインフゾリアが湧くためには、水槽を明るく照らすことが大切です。

 あと、ほかには・・・。
浮き草(どんな水草でもいいので、浮かべておいて下さい。)
水槽のフタ(フタをしておかないと、泡巣が壊れやすいです。)
ココナツシェル(メスがオスから逃れて隠れる場所です。)
アルダーシード(水質を良好に保ちます。)
インフゾリアの卵(稚魚の最初のエサです。)
ブラインシュリンプエッグ(インフゾリアのあとの稚魚のエサです。)


 さて、用意した水槽に水を入れます。
 水は塩素を中和した普通の水でかまいません。
ここで大事なことは、水深を15cmぐらいにしておくことです。
深いのはよくありません。浅くしておくのがポイントです。

 そしてヒーターをセットして、温度を27~28度に調節し、水草を浮かべ、
ココナツシェルを水槽の中に配置し、アルダーシードを2~3粒入れておきます。
 
 その際に浮かべた水草を少しちぎり、指で揉んで潰した物を水面に浮かべておきます。
 そうしておくと、稚魚の最初のエサ、インフゾリアが発生しやすくなるのです。

 そしていよいよショーベタのオスを1匹入れて、繁殖の準備に取りかかります。


実際の繁殖シーン


 繁殖用水槽にショーベタのオスを導入するのですが、
普段飼育している水槽で、水面に沢山の泡を作っているオスを繁殖に用いるべきです。
 なぜなら、泡を吹いているのはオスが発情しているサインだからです。

 繁殖用水槽に入れられたオスは、環境に慣れるまで、2~3日そっとしておいてあげましょう。
 エサは普通に与えてもかまいません。
 でも、繁殖用水槽の水は換えないでください。

 そうしておくと、オスはまた泡を吹き始めます。
そして一日か二日で、立派な泡巣が出来ていきます。

 そこでメスの登場です。
 メスはもちろん卵を持っている必要があります。
おなかのやや後半部分に白いペナント形のものが透けて見えると思います。それが卵巣です。
それが見えていれば、抱卵しているので繁殖可能です。
 
 しかし大事なのは、いきなりメスを繁殖用水槽に放さないことです。
 いきなりメスを発見したオスはエキサイトして、メスを追い掛け回し、メスは何事かと驚いて
ひたすら逃げ回るだけです。


 ここでは”お見合い”と呼ばれる儀式を行います。
メスをビンか小さな水槽に入れて、繁殖水槽の横に、お互いが見えるようにおきます。

 すると発情しているオスは、ヒレやエラを広げてメスを威嚇します。
 それを見ているメスも発情してきて、腹部の卵巣部分に縞模様が出てきます。
(ホワイトやイエロー系には縞が現れません。)

 オスはますます勢いに乗って泡巣を大きく作ります。
 繁殖用水槽への導入後、いつまでたっても泡巣を作ろうとしないオスにも、この”お見合い”は効果的です。
 これを機会に発情して泡巣を作り始めます。

 1日ほど”お見合い”をさせて、オスがある程度(5cm平方センチほど)の泡巣を作ったら、
メスをそっと放してみましょう。
 この時点からは、オスメスともにエサを与えないでください。

 オスはお見合いのとき同様に、メスを威嚇します。
そして多くの場合はメスを追いかけて、突きまわします。
 メスは最初のうち逃げ回っていますが、ヒレや体をつつかれているうちに、
観念したようにオスに導かれ、泡巣の下へと向かいます。

 このシーンはペアによってさまざまで、オスは泡巣の下でヒレを広げてメスを誘うだけの場合もあり、
最初からメスのほうが積極的に産卵しようとオスに近づくこともあります。

 しかし、たいていはオスが激しくメスを攻撃してメスのヒレはボロボロになってきます。
 飼育者としては、見ていると心配になってきますが、そうなってから産卵が始まることが多いので
あまり神経質にならないことが大切です。

 ところが、メスを入れてから1週間以上経っても産卵しない場合は、時期尚早かペアの相性が悪いことが多いので、
ペアリングは中止して、オスメス双方の飼育水槽に戻してあげたほうがよいでしょう。
 後日様子を見て再チャレンジです。



 さて、産卵可能なメスは頭部を下に下げながらオスの待つ泡巣に近づいていきます。
 そして、いよいよ繁殖が始まります。

 近づいてきたメスにオスは体を巻きつけ、メスを上下にサンドイッチするような状態で
けいれんしたように静止します。
 そこで、メスは産卵し、同時にオスも射精して卵が受精するのです。
 
 そのあと、重なり合うペアの隙間から、卵が水底に落ちていきます。

 すると、我に返ったオスがメスから離れ、底に落ちている卵を口で拾って、
せっせと泡巣へと運びます。
 
 上記の”繁殖の準備”の際に水深を浅くすることが大事と言いましたが、
 ここで、水深が深すぎるとオスの作業が大変なのです。
 スムーズな産卵のために協力してあげましょう。


 この動作は何十回と行います。
オスはその都度、卵を泡巣へと運びます。
 ベタならではの大変情熱的なシーンで、いつまで見ていても飽きることはないでしょう。


 やがて産卵が終ると、オスはメスを追い払い卵が入っている泡巣の下に待機します。

 産卵の終ったメスは、泡巣が壊れないようにそっと取り出しましょう。
 繁殖水槽が小さいと、メスを取り出しにくいです。
 上記で申しましたように、ある程度大きな水槽がよいです。

 メスは産卵によるダメージを受けているので、
病気予防のためにスーマを規定量入れた水槽か容器に1匹にして、そっとしておきましょう。
 メスはオスに攻撃を受けた際に出来た傷口から感染症にかかりやすいです。
 食塩も一つまみ入れておくといいでしょう。


 さて、産卵が終ったオスは、泡巣の下で卵の世話をします。
時折、泡巣の中の卵を口に含み、もぐもぐして巣に戻します。
 これは、卵にカビなどの細菌がつかないように卵の表面をクリーニングしているものと考えられます。

 ときには、今ある泡巣の場所が気に入らないと見えて別の場所に泡巣を作り直して、
卵を移動させる行動も観察できます。

 そうやって、オスの献身的な世話を受けながら、卵は孵化する日を待つのです。

誕生と育成



 無事に産卵が終わり、泡巣の中の卵は孵化を待っています。

 水温にもよりますが、通常2~3日で卵は孵化します。
 孵化した稚魚はとても小さいですが、泡巣の下にぶら下がっているはずです。

 孵化したての稚魚には、お腹に栄養が蓄えられており、まだエサを食べることができません。

 それにちゃんと泳ぐこともできないので、フラフラしており時折泡巣から離れて、沈んでいく姿を見かけます。
 
 しかし、オスはその沈んでいく稚魚を見つけると口にくわえて、ちゃんと泡巣へと戻します。
 一度に沢山の稚魚が落下していくときなどはたいへんな忙しさですが、
健気に世話をしているオスの姿を見ることができるはずです。



 ここでも、水深を浅くした理由がわかるでしょう。
 水深が浅いと、なかには自力で泡巣に戻る稚魚もいるのです。

 そろそろ稚魚の最初のエサ、インフゾリアという微生物を用意しましょう。
 インフゾリアの卵をカップなどにふ化させて、そのカップの水ごと稚魚の水槽に
そっと入れてあげてください。
 インフゾリアの卵の使いかたは、こちらをご覧くださいね。
→ https://www.bettashop.net/SHOP/infusoria.html


 稚魚がふ化してから2~3日で、稚魚のお腹にある栄養分が吸収されて、
自由に泳げるようになります。
 
 そこで、オス親の役割は終わりです。

 おつかれさまでした♪

 稚魚を一緒にすくわないように、そっとオスを取り出します。


 泳ぎだした稚魚は、水中にただよっているインフゾリアを食べて成長します。

 インフゾリアの卵をセットしてから、ふ化するまでは1日ぐらいです。
 稚魚が泳ぎだすのに間に合うように、インフゾリアの卵をふ化させて、与えてくださいね。

 下から水面や水槽の縁を注意深く見てみてください。
 投入したインフゾリアが水中をただよっているでしょう。
 また、あらかじめ指で潰して入れておいた水草の周りには
小さな雲か霧のようなものを見つけることができるでしょう。
 これらがインフゾリアです!

 インフゾリアは自然と湧くことがおおいですが、確実に与えるために、
インフゾリアの卵を用いましょう。


 そして泳ぎ始めてから2~3日のあいだ、稚魚はインフゾリアを食べて成長しますので、
そのあいだに次のエサ、ブラインシュリンプを用意しましょう。

 ブラインシュリンプエッグという、卵を乾燥したものが売られているので、それを塩水で孵化させます

 ペットボトルやビンなどの容器に2~4%の食塩水を作り、
少量の乾燥卵を入れてエアレーションをしておきます。
 水温を25度前後に保っておくと、約24時間で孵化します。
孵化したブラインシュリンプをピペットなどで集めてベタの稚魚に与えるのです。

 孵化後のブラインシュリンプは、栄養価がどんどん失われていきますので、
一度に沢山孵化させずに、2~3本の孵化容器を用意して時間差で孵化させてゆきます。

 稚魚にはなるべく孵化したてのブラインシュリンプを与えるようにします。
 食べた稚魚のお腹はブラインシュリンプと同じオレンジ色になりますので、食べていることがわかるはずです。

 稚魚は水質の悪化に弱いので、食べ残しのエサは必ずスポイドなどで取り除きます。

 この時期の稚魚は水質の悪化に弱い一方、水質の変化にも弱いので、あまり水換えはせずに
スポイドやエアチューブなどでゴミを水と一緒に吸いだして足りなくなった水を足すぐらいが理想的です。
 最初に水深を浅めにしていたので、徐々に水を足して深くしていってもかまいません。
 スポンジフィルターなどを用いて、水質を浄化させるのもいいですね。

 生まれてから2週間ほどすると稚魚も丈夫になり、また食欲も旺盛で、水も汚れやすくなります。
 3日に1回、三分の一ほど水を換えてあげてください。
 エサはできれば1日3回、少なくても1日2回は与えてくださいね。
 
 この時期のこまめな給餌と水換えは、その後の健全な成長を左右するので大切です。

 生後一ヶ月もすると、順調に育っている稚魚ならほんのりと体に色が出てくるようになります。
 そうなってくると、エサをブラインシュリンプから、フォーチュンオリジナルフード小粒を潰したものに
替えていってあげてください。
フォーチュンオリジナルフードはそれだけでもお送りできます。

 最初はすぐに食べないかもしれませんが、いつまでもブラインシュリンプだけを与えていると
栄養が偏り、大きく成長しなくなりますので、ぜひ与えてください。

 しまいには潰さなくてもフォーチュンオリジナルフードを食べるようになります。
 そして、次第にオスらしい個体が出てきて、他の個体と喧嘩するようになってきます。
 メスはそのまま飼育していてもかまいませんが、オスは1匹ずつ新しい容器に入れてあげて、
あなたの理想とする一人前のショーベタに育ててあげてください。

 トラディショナルベタやプラカットの繁殖・育成もショーベタと同じです。

 レッツ!トライ!!

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